動物病院の経営不振・ 倒産 の情報がなぜ伝わってこないのか?
会社の経営難や倒産についての情報は、新聞やテレビなどの報道機関を通じて流されることがあります。
なぜ、会社のそんな情報が公に出てくるのでしょうか。
それは、会社の経営難や倒産は、社員のみならず、株主や取引先、また社会にも大きな影響を与えてしまうので、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社が常に情報収集を行っているからです。
では、この動物病院の経営不振、倒産の情報についてはどうなのでしょうか。
すでに東京・神奈川などの激戦区では、経営不振から閉める動物病院が出始めています。
こうしたマイナス情報を一番知っているのは、器械や薬の業者さんですが、こうした情報が勤務医に伝わると新規開業する人が減って、自分の業績に悪影響することから、こうしたマイナス情報を出すことはないと言えるでしょう。
では、動物病院の開業届や廃業届を義務付けている行政機関はどうなのでしょうか。
神奈川県庁担当者の回答
「適切な獣医療のために県の家畜保健衛生所が定期的に巡回指導をしていますが、その動物病院に電話したら出なくて、行ってみたら閉じていたというケースがたまたまわかることはあります」(神奈川県庁担当者)
東京都庁にも電話で問い合わせてみましたが、神奈川県と同様の回答。
行政機関でも、動物病院の倒産の情報は知り得ないとの回答でした。
農林水産省獣医事班の回答
また、獣医師免許の登録、廃止を管轄している農林水産省はどうなのでしょうか。
「獣医師本人には免許の廃止届け義務があることを家族に伝えることを推奨はしていますが、動物病院の倒産や院長の急死といった事態で動物病院を閉じていても、本人や家族からの届け出がない限り、わかりません」(農水省獣医事班)
との回答。
行政機関でもこうした動物病院の倒産情報を把握できていないならば、今後統計上の数字と実際にある動物病院数が合わなくなる可能性が高くなってくるのではとの問いには、「これは獣医師免許が届け出制度であること自体に限界があると言うことでしょう」(農水省獣医事班)
との回答でした。
ゆえに、この動物病院の経営難、倒産の情報を一番持ち得ているのは業者さんで、自分の売上にマイナスになるから、こうした情報が勤務医に伝わってくることはないと言えるのです。
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