個人の動物病院に就職してよかったポイント
Q:この動物病院業界には犬の頭数と高齢犬の減少、続いて獣医師の首都圏集中と、これまでになかった変化が始まっていますが、2019年には米国の企業動物病院VCAと金融ファンドによるM&Aが始まり、病院を個人に譲渡するか、企業病院に売るかの選択が院長に迫られるようになりました。
この動きについて石川先生はどのように捉えておられますか。
石川院長:東京や大阪の規模が大きな病院が買収されたという話は耳に入ってきました。
獣医師としての実力を磨きたいとの一心で個人病院で修業しました
Q:これからこの業界に起きる変化として、企業動物病院の台頭は勢いを増していくかもしれません。これから企業動物病院と個人病院の特徴点がより鮮明になってくることで、どんな働き方を求めるかで獣医師のワークスタイルが二分化していくものと予測しています。
そこで、獣医師としての実力を磨きたいなら、個人病院。しかも地方都市の規模の大きな病院で勤務する方がいいと提言したいのですが、石川先生はこれまでのご経験からどう思われていますか。
石川院長:今の自分があるのは、これまで修業させて頂いた動物病院の院長のお陰だと思っています。今の時代からすると、その病院はめちゃめちゃブラックな働き方でしたが、天才的に物覚えが早い人を除けば、私のような普通の人は実力を磨くためには人一倍働いて、勉強するしかありません。
私は、獣医師としての実力を磨きたいとの一心で個人病院で修業してきました。
そしてこの足利市で承継開業して感じるのは、東京での勤務医時代よりも開業後に獣医師としての実力が伸びた点です。
東京と比べて、交通事故も多いですし、「これは私がやるしかない」といった患者さんも来院するからです。
承継開業してから夜間診療を始めました。休み重視の働き方改革からすると、長時間勤務は避けたいでしょうが、救急で来院する患者さんは居るので、私1人でこの夜間診療をやってきましたが、この夜間診療で獣医師としての実力がさらに伸ばせたとみています。
Q:やはり、そうですか。これは、地方だと病院の周辺に大学病院や専門病院がないために、急患も自分がやらざるを得なくなって獣医師としての実力が伸ばせるチャンスがあるということですね。
逆に企業動物病院は労働基準法を守らなければならないという意識が強いので、時間外とか、夜間の急患とかを診るには制限があります。
働きやすさを重視するならば企業動物病院の方がいいが、臨床その他の実力を身に付けたいのなら、ブラックな面はあるが、個人病院の方がいい。
この外資参入によって、これから勤務医になろうとする若い人には自分の働き方のスタイルが求められるようになっていく点がこれからの変化であると言えるのでしょう。
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