動物病院の経営という面でみれば、すでに 市場 の変化は始まっています。大きく分けて3つの変化ですが、2020年には、その変化は誰の目にもハッキリする変化になります。
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動物病院の 市場 を取り巻く3つの変化
この3つの変化にお気付きですか?この変化を知っているか、知らないかで、これからの動物病院の生死が決まると言えるほどの変化になります。
<第1の変化>:2003年のペットブームの犬がいなくなる
経済・金融のバブルは1989年がピークでしたがこの動物病院にとってのバブルはそれから14年おくれて2003年にペットブームという形でやってきました。
日本の経済環境がいくら悪化しても動物病院の経営はきちんと診療していれば、ペットの数が増えたので、右肩上がりでの業績アップが期待できました。
しかし、これからの経営環境はがらりと変わって行くことになります。
それは、「このペットブームで飼われた犬たちが寿命を迎えていなくなる」からです。
高齢犬はペットブームの時の犬たちがいるから2017年までは増え続けますが、
それ以降の減り方は急速です。2017年に323万7000頭となってビークを迎えた後、2024年には218万頭とわずか7年間で100万頭以上、約3分の1の犬がいなくなることなります。この激減が動物病院の経営に影響を与えないわけがありません。
218万頭というと、2007年当時と同じ頭数ですが、病院の数はどんどん増え続けています。
これが動物病院の経営環境にどう影響してくるかは、言うまでもないでしょう。
ペットブームでの犬がいなくなることで、動物病院にとってのバブル景気も終わることになります。
<第2の変化>:団塊世代が自身の高齢化で、「もう犬は飼えない」との声
2010年9月、内閣府の「ペット飼育率」の調査によると世代別で飼っているのが一番多いのは、「50~59歳」(44.5%)です。
次いで「20~29歳」(38.5%)、「60~69歳」(36.4%)と続きますが飼う人の割合が増加傾向にある年代は、「30から50歳」までの間だけです。
2020年になると、それぞれの世代が10歳ほど年を取ることになり、
飼い主としては多かった「50~69歳」までの世代が60代から70代になり「犬を飼いたくても飼えない世代」になっていきます。
この日本の≪人口ピラミッド≫をご覧になったことがあるでしょうか。これをみると、日本の高齢化がどんなスピードで進んでいくのかが一目瞭然です。
この変化は、ペットを飼える世代と人数に関連しますのでこれから10年、20年の変化は病院経営に大きく影響してくる要素として捉えておいてほしいものです。
(ぜひ「人口問題研究所のサイト http://www.ipss.go.jp/」)にアクセスしてみてください)。
そしてペットブームで一番多く飼い主さんになった世代が団塊世代ですが「もう犬は飼えない」という声がきかれるようになってきました。
この団塊世代はこれまでの大量生産、大量消費を支えてきた世代ですからこの発言は、重く捉えなければならない発言だと思います。
<第3の変化>:これから犬の出生数が激減していく
※このグラフはメディカルプラザが作成したものです
このグラフは、犬の新規登録頭数(出生数)の1980年から2024年までの45年間の推移をみたものです。
このグラフの動きから何が読み解けるでしょうか。それは、「犬の少子化はもうすでにとんでもないスピードで進んでいる」ということです。
このデータが示す変化は、
・2016年には、2003年比で頭数が半減したこと
・2021年からは、60%に減少する時代に入る
ということです。
では、犬の少子化によって、これからどんな影響が出てくると考えられるのでしょうか。
第1のポイントは「新規開業病院の新患ターゲット数が減る」ことです。
新規開業で来院する飼い主さんの多くは、「子犬を初めて飼ってまだ病院が決まっていない人」です。
飼い主さんは一度訪れた動物病院でいい先生に出会えたと思うと人間の病院以上に、他の動物病院にかえようとはしないからです。
ここに新規開業の厳しさがありますが犬の少子化や人間の高齢化によって犬を新たに飼う人が減れば新規開業病院の経営環境がどうなっていくのかは火をみるより明らかです。
そして今後も新規開業数が変わらずに増え続けた場合にどうなるかは歯医者や弁護士、公認会計士と同じ状態になっていくことを意味します。
これからペット市場は、犬に限って述べれば、急速に縮小していきます。
(猫がどうなるかは統計資料がないために予測できません)。
減っていく犬の数を増え続ける動物病院が奪いあうのですから実績のない新規開業と、前院長の実績を受け継いでスタートできる承継開業では、
売り上げなどでの差が出てくるのはむしろこれからであると言えそうです。
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