獣医師が引退を 50歳 とした理由
私は開業当初から「 50歳 を過ぎたら引退を考えよう」と考えていました。
これは身体的な限界がやってくるとか、この時までに息子に譲ってといった一般的な承継の理由からではなく、その頃には獣医師とは違う、また別の仕事がしてみたいと考えていたからです。
それでも、「もっと別の道に進んでいたら、私の人生はもっとうまく行けたのに」とは決して思わないよう、努力はしようと思い、その頑張りの一区切りを50歳と決めていました。
実際に50歳になってみますと、体力も落ちてきていますし、健康不安も出てきますので、さすがに、ここからもう1つの事業を立ち上げるのは難しいとは感じていますが。
動物病院の第三者譲渡を考えた理由は息子の独立
この事業承継で第三者の譲渡を決断した一番大きな理由は、息子が独立したことで、この動物病院の後継ぎがいなくなったからです。
50歳になった頃、これまで代診で長年勤めてくれた先生にこの病院を譲れたら、私は引退できると考えましたが、承継はそう思い通りには運びません。
代診の先生で「この人はいいな」と思う人に限って、早く独立したい思いをもっているから、そう長くは勤めずに、独立開業していきます。
そうなると、また次の代診の先生を探さねばなりませんが、若い先生はやはり都会の方がいいのでしょうか。
大学を通して募集をしていましたが、地方の動物病院に来てくれる先生はどんどん減ってきました。そして東日本大震災以降は、パタッと止まってしまいました。
これでは、代診の先生から後継者を決めることもできません。
そんな時に第三者事業承継を知って、「こういう方法もあるのか」と思って、コンサル会社にコンタクトをとったことが承継の発端です。
自分の体調面を工面
この動物病院の承継を依頼して以降、身体の不具合が次々と見つかります。
以前から疲れやすくなったとは感じていましたが、承継で他の院長に病院を譲るとなってからは一気に病気が表面化して出てきたようです。
病気などで突然病院を辞めてしまうと、飼い主さんに迷惑をかけてしまうし、なによりスタッフに申し訳がない。
そう考えると、なんとしてでも後継者を探さねばなりませんでした。
「承継には大体3年くらいはみておいて下さい」と言うのがコンサル会社からのアドバイスでしたので、その間は自分の健康状態が心配でした。
後継候補者選びで一番ネックになったのは、譲渡を決心した後の原発事故での風評被害でした。
本人が良くても、親が反対したことでダメになったケースが多々ありますが、ようやくOKを出してくれる方と出会えたのは、依頼してから1年半後のことでした。
そこから話はとんとん拍子で決まって、スタッフも含めた形での事業承継はわずかに半年の間で決まりました。
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開業当初から「 50歳 」を一区切りと決めていた
かみなが動物病院 神永大幹・前院長(福島県いわき市)
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