獣医師の開業は 不動産コスト が重要?
勤務医から開業を目指すのなら、やはり、人口が多い東京都心や神奈川県の一等地で開業したいと思うでしょう。
そのため、東京、神奈川に新規開業が集中する事態が近年ずっと続いてきています。
「都心部で開業することはチャンスが大きい」と考えるからでしょうが、リスクも高いという点は見逃されがちです。
そのリスクとは、「不動産コスト」です。
動物病院の開業における 不動産 についてこの不動産コストとは、「不動産に対する実質的な支払いコスト」です。
都心部で開業するには、テナントを不動産屋から借りて開業するのが一般的です。
親の動物病院を受け継ぐとか、親が資産家である場合を除いては、その不動産を開業時に購入することは難しいと言えます。
「動物病院の開業には不動産をどうするのかは大きな課題です。新規開業はどこでも開業できるメリットはありますが一等地での開業となると、テナントでスタートするのが一般的です。
一方の承継開業ならば、すでにある動物病院の不動産、建物も含めて譲渡を受けることも可能になってきます。
そして、新規開業と承継開業の「不動産コスト」が明暗を分けてくるのは、10年から15年後のことになります。
それは、承継開業は売上があるところからのスタートですから、その分、譲渡金や金融機関からの融資を早く返せてしまうからです」(承継開業コンサルタント・西川芳彦氏)。
テナントでスタートするのと、不動産を譲り受けてスタートするのとではどのような違いが出てくるのでしょうか。
「大都市で開業する場合は、テナントでスタートすることになりますが、仮に現役時代が30年間として、その30年間はずっとその家賃を毎月支払い続けることになります。
大都市の場合は、その物件を地主さんが売ってくれないことが多いと言えます。
30年間払い続けた家賃がこの不動産コストです。
一方、地方で承継開業した場合、不動産・建物も含めて譲り受けることができる場合があります。
譲り受けて自分のモノになっていれば、自分がリタイアする段階になった時、この事業承継で、動物病院の営業権と合わせて不動産を売ってしまうこともできます。
購入代金から売却代金を差し引いた額がこの不動産コストになります」(前出・西川氏)。
新規開業の場合、30年間支払い続けても自分のモノにはならず、また、リタイアで廃業することになれば、元の状態にして大家さんに戻さなければならないために廃業コストも掛かってくることになります。
一方の承継開業では、不動産も合わせて購入しておけば、後に売却することもできるので、圧倒的にこの不動産コストが違ってくることになります。
「首都圏中心の新規開業ラッシュは、過当競争で売り上げが下がっている中でこの不動産コストは高い。
この売上減と不動産コストによって経営が厳しくなる動物病院はこの首都圏でこれから増えていくことになるでしょう」(前出・西川氏)。
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