動物病院を経営するにあたっての「 歯周病 」

動物病院を経営するにあたっての「歯周病」

今の動物病院の売り上げを支えている高齢犬が激減していくことで、これまで通りの病院経営では成り立たなくなっていく。

ヒトの医療でも病気になってからの治療ではなく、病気にならないようにするヘルスケア産業が2030年には37兆円規模の産業になると見込まれているほど、

新市場が拡大してきている。

動物病院もまた同じ。

未病、予防医療がこれからの獣医療業界に新たな市場を作り出すと言う、安田獣医科医院・安田英巳先生にその具体策などをうかがった。

歯周病 が獣医師の仕事に繋がる??

Q:  これから高齢犬が減って経営難になっていく動物病院業界において、「歯周病をコントロールすることが獣医師のこれからの仕事になる」とはどういうことでしょうか。

安田先生:  犬の歯周病がヒトにもうつることを飼い主さんたちきちんと理解して頂くよう務めるという大前提がありますが、

この歯周病予防を勧めることが動物病院の新たな市場をつくることになります。

ヒトも含めて動物は100%、歯周病になりますから、この歯周病のコントロールは各病院が持っている患者さんのカルテを使ってやることができます。

新たに新患を獲得するための競争する必要性はありません。

例えば、1000件のカルテを抱えている病院なら、年間200件の施術をするとすれば、

5年間掛かります。

しかも、フィラリア予防などの繁忙期を避けて病院が比較的暇な時期に実施すれば、閑散期の収入を補うことにもなります。

私の病院では1月から3月にかけてこの施術の実施に注力しています。

勤務している獣医師には「これはOne Healthの考え方で、獣医師は、動物だけではなく、ご家族の健康にも貢献していることになる」と伝えるようにしています。

一度住み着いた歯周病菌はこの施術をやってもなかなかいなくなりません。

ちょっとでも歯石がついたらやる。1年に1度くらいの割合で。

そうすることで、動物病院の新たな収益源にできます。

ただこの施術については、先ほど、麻酔器は2台。

スケーリング専用の麻酔器を持つことが大事とお話したように、麻酔をかけてやることが大事です。

犬でスケーリングをしている割合は?

Q:  ヒトでもスケーリングを定期的にやっているヒトは少ない。

犬でスケーリングをやっている割合はどれくらいなのでしょうか。

安田先生:  全体では未だ4割くらいだと思います。

私の病院では、「みなさんの家族の健康のためですよ」と言って飼い主さんにスケーリングを勧めていますから、ほぼ毎日施術が入っています。

Q:  施術について、先ほど、麻酔をしてというお話でしたが、無麻酔で行う動物病院もあるかと思います。

麻酔をするのはなぜでしょうか。

安田先生:  「目的」は、「歯石を取る」ことではなく、歯周ポケットを処置して歯周病をなくしていくことです。

歯石をしっかりと取り去るためには、麻酔下で実施しないとその目的が達成されません。

今は年をとった犬が多いため、飼い主さんは「歯がきれいになりますか」という質問よりも、「麻酔、大丈夫ですか」と心配されますので麻酔のリスクも含めてきちんと説明する必要が出てきます。

飼い主さんは麻酔は怖いものだとの思いますから、この麻酔についてはきちんと説明できなければなりません。

飼い主さんを納得させる面倒を避けようと、無麻酔でやる獣医師がいますが、それでは歯をきれいにできても、本来の目的である歯周病をコントロールすることまではできません。

幸いにして私の病院では、麻酔の専門家が来てくれますので、この問題はクリアしています。

歯周病予防を呼びかけた結果は?

Q:  One Healthの発想で歯周病予防を飼い主さんに呼びかけるようになって、

スケーリングの実績はどうなったでしょうか。

安田先生:   施術は3倍に伸びています。

歯磨き指導だけではなく、口腔ケア用療法食t/dについては売り上げがほぼゼロでしたが、トッピングサンプルを100円で渡すようにしたら、売り上げ増につながっています。

 

One Healthの発想で、歯周病のコントロールはこれから獣医師の仕事になる

安田獣医科医院、Alphaets株式会社 安田英巳先生

One Health の概念と動物病院の経営

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