規模 が大きな動物病院を承継するメリットは何か?

藤野動物病院 伊藤太一院長(福岡県小郡市)

開業後4か月、獣医師4人、看護師7人

:伊藤先生は、その開業場所として福岡を選択されましたが、なぜ地方都市を選ばれたのでしょうか。

伊藤院長:どこで勤務するのか、どこに住むのかを大事なポイントにしている方もいるでしょうが、私は開業する時は巨額の借金を背負ってやるわけだから、場所へのこだわりは捨てるべきだと考えてきました。東京開業にこだわって過当競争と借入金の返済で四苦八苦するならば、地方都市でスタートして成功する方がいいと考えました。

そこで開業場所については、どこでもいいと考えてこの福岡を選択しましたが、同じ福岡でも、小規模の動物病院よりも可能な限り規模の大きな病院を引き継ぐ方がいいとは思っていました。

:今回の福岡の動物病院の承継では、銀行からの借入金が1億5000万円でした。私はこれまで200件以上の承継開業をコンサルタントしてきましたが、トップクラスの借入額です。この承継開業では前院長に対する銀行の信用があるから、他業界であり得ないことが起こせます。この点についてはどう思われましたか。

伊藤院長:実際に銀行で、ポンと、しかも保証人なしで1億5000万円を融資して頂いたので驚きました。母子家庭で、公立大学も免除してもらって、バイトで大学をなんとか出た私が開業するためには、地方都市での承継開業を選択するしか方法がなかったと言えます。

:億超え病院の承継となると、「怖い」と答える勤務医が多い中で、伊藤先生はこの借金を背負うことをどう捉えられたのでしょうか。

伊藤院長:借金の額が、2000万円でも、15000万円でも、返せなくなった時に自己破産するしかないという結果からみれば同じです。銀行が貸してくれると言うのなら、借りれるだけ借りた方が投資に回して、売上を伸ばすことができます。

見方を変えると、30歳代そこそこで保証人なしで銀行から15000万円をポンと借りられる人間がこの日本全国にどれだけいるのかという話です。

まさにあり得ない話です。ただ正直に言えば、私も「大丈夫かな」という思いはずっとありましたが。

:承継開業されて4ヶ月が経ちましたが、実際に開業してからこれまでにどんな課題や悩みを持たれたでしょうか。

伊藤院長:承継スタートした11月からの4ヶ月は、動物病院業界では閑散期に当たりますが、獣医師2人でスタートして最初の課題は、やはり来院数に対して獣医師の数が足りないことでした。開業当初は獣医師2人で、昼休みも一切無しで、朝8時から夜8時まで、ぶっ通しで診療しました。

私が手術している間、他の先生は診療をしていて、手術が終わって少し休みたいと思って外に出ると、患者さんが並んで待っている。この状態が3ヶ月続いて、4ヶ月目にようやくもう1人、獣医師に来てもらえたので、なんとかこの課題はクリアできました。

:地方都市の規模の大きな病院でも勤務医を雇うのが困難な状況にある中で、どのようにして獣医師に来てもらうことができたのでしょうか。

伊藤院長:その先生は名古屋で勤務していた病院の後輩です。ちょうど転職を考えていた時だったので、声を掛けてみました。その先生は山口県の出身で、浪人時代に福岡に居たことを知っていたので、この福岡なら来てくれると考えました。

実はこの先生に来てもらうことは、私が規模の大きな病院の承継開業ができるかどうかを決める大きな課題でした。売上が大きい病院を引き継いだ場合に獣医師の確保が課題になることは承継前にわかっていましたので、この先生が勤務医で来てくれるのなら、承継開業の話を進めてみようと思いました。この福岡を承継開業地にしたのも、この先生が加わってくれるとなんとかなると思えたからです。

:同じ承継開業でも、普通規模の病院承継と規模の大きな病院を継ぐのとでは、スタートラインからしてクリアしなければならない課題がまるで違います。規模が大きな病院ではまず獣医師不足の問題から課題になります。

伊藤院長:最初に直面した課題は、これまでに勤務していた獣医師、スタッフが残ってくれるかどうかでした。院長が代わっても患者さんが動物病院を替えることは少ないと思いますが、勤務医とスタッフが一気にやめてしまうとしたら、それが規模の大きな病院を引き継ぐことの最大のリスクになると思います。

この動物病院は最盛期には2億円以上の売上があった病院です。当初の売上を目標とするのであれば、獣医師とスタッフ数は絶対に維持しなければなりません。

ヒトが来てくれるかどうかは今の悩みでもあり、これからの課題であるとも考えています。

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