動物病院の新規と承継の差は「3年から10年という時間を得する」ということ
Q: 事業承継は、次の働き方や次の生き方の選択肢や可能性を増やすことになると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
作本先生: もしかすると、この事業承継をマイナスと捉えている人が多いのかもしれません。
事業承継とは、病院経営に行き詰まったところが、新たな院長にバトンタッチしていくと考えている。
企業のM&Aは、例えば、シャープのように経営に行き詰まったからその再建のために台湾の企業に譲渡するという捉え方ですからこのM&Aと事業承継を同じだと捉えているのではないでしょうか。
先日からもある病院を引き継ぎたいという若い先生が私のところに来ていますが「先生、この病院、まだまだやれますよ。なのになんで売るんですか」と聞いてきました。
「ああ、これは事業承継をわかっていないな」と思いました。
承継できる動物病院とは?
Q: 実際に承継できている病院の比率は、流行っている病院が圧倒的に多いですから。
作本先生:いい病院だから患者さんが来る。その患者さんがいる病院を引き継ぐからうまくいく。
このように事業承継のポイントは、単純明快。
これが実際に事業承継をやってみると、ものすごくよくわかります。
行き詰まったから新しい人に譲るとマイナスに捉えるのは経営のことがわかっていないからかもしれません。
引き継ぐ若い先生は自分がその病院経営で借金を返しながら生活していかなければならないのですから、それなりの売上げがなければ魅力としては映りません。
開業当日から忙しかった
Q: また承継開業した新院長が異口同音におっしゃるのは、「開業当日から忙しかった」ということです。
つまりは、新規開業のゼロからのスタートではなくすでに売上げがある、患者さんがいる病院を引き継いでいるのですからこの違いは大きいですね。
作本先生:新規開業のゼロとの差は、早い人だと3年、長い人だと10年という時間になります。
承継開業する先生は、この時間を得することになる。
新規開業も、承継開業も、一見すると、掛かる費用が同じだから、
新規の方が良いと考えがちですが、最初から売上げがあるかないかは心理的にも違うでしょう。
この動物病院の事業承継のように、すでに売上げがある病院を若い先生が引き継げるのは、実はあり得ないこと。
他の業界で考えれば、わかるでしょう。
繁盛しているレストランやスーバーを新規開業と同じ金額で売ってくれると思いますか。
獣医師が次の キャリア に行けるかどうかの分岐点は「50歳」である大阪 作本動物病院 元院長 作本貞良先生
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