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フリーランス の獣医師の働き方のメリット、デメリットとは?
新しい働き方のメリット・デメリット
Q: 作本先生は、ご自身の病院は承継で第三者に譲って、獣医師としての働き方をフルタイムから週3日くらいにされていますが、この働き方のメリット、デメリットは何でしょうか。
作本先生: いい面は、「休みが増える」ことです。
もう1つは、ピンチヒッター(フリーランス)の獣医師という働き方をすることで「あちこちの地域に行くことで自分の見識が拡がっている」という点ではないでしょうか。
そして悪い面は、簡単に言えば、「責任がないから診療の質が低くなる」ことです。
週3日間だけとなると例えば、これまでなら血液検査をしている症例でも、「いまはやめておこう」と逃げの診療になる。
今、問題がなければそれでいいかと。
これも引き受ける病院との話し合いをしっかりしておけば、こんな働き方も悪い選択ではないように思います。
Q: この働き方をして、他者と会うようになって感じたことは何か、ありますか。
作本先生: 話をしてみると、どんな人間なのかがある程度わかるようになってきたのは、大きな収穫でしたね。
言葉遣いから、その人が前向きな人か後ろ向きな人かもわかりますし、持っている運もある程度みえてきます。
院長として病院内にこもっている生活と比べたら、はるかに面白い経験をしているんだと思いますね。
フリーランスの獣医師として心配だったこと
収入面で言えば、初めての働き方ですから、最初は不安がありましたが、今では院長時代よりもいいかもという結果になりそうです。
これからももっと色んなところに行きたいと思うようになりました。
ピンチヒッター(フリーランス)の獣医師と言えば、これまではスキルの飛び抜けたスペシャリストの先生があちこちに行くことはありましたが、専門医ではない、普通の獣医師があちこちに行っているのは、私が初めてでしょうかね。
「期間限定の穴埋め役」といった表現になるのでしょうか。
これが、これからの獣医師の新たな働き方になるのではないかと思っています。
ピンチヒッター獣医師 とは?若い獣医師へのメッセージ
Q: 若い獣医師先生に作本先生からメッセージを頂ければと思います。
作本先生: 最近の若い先生は、技術力は高いと思いますね。
大阪の周辺で言えば、レベルはかなり高いと思います。
それは、勤務医を抱えている病院の指導力でしょう。
技術は高いのですが、経営については何も知らない。
例えば、患者さんがいくら払ったのかについて。
受付任せにして知らない先生もいます。
それで後で「少ない」と文句を言う。
それならば、「自分でやるべきだ」と言いたいですね。
患者さんがいくら払ったのかを知ることが経営を知る第一歩になるでしょうから。
これは代診や勤務医時代には院長が教えることはないでしょうから、この場で伝えておきたいですね。
事業として継続していくためには、経営感覚は絶対に必要だと思います。
これは、院長にも言えることです。
これから犬の数が減って行って、業界全体が厳しくなってきた時に、経営を知っているかどうかが明暗を分けることになるかもしれません。
この経営の観点から言えば、病院を譲る時に院長が例えば、1億円という額を若い先生に提示することがあります。
この経営がわかっていなければ、その1億円という額を「怖い」と捉えてしまいますが経営を知っているなら、これは「チャンス」と考えます。
それは、「その病院はそれだけの額の売上げをあげている病院だから」です。
この気付きがあるかなしかで、決断できるかどうかが決まることになるということでしょう。
これから動物病院を 経営 する獣医師へ《編集部コメント》
※現在、作本貞良元院長は、ピンチヒッター(フリーランス)獣医師の時の経験を活かして、この事業承継で静岡の動物病院を引き継ぎ、「経営者」の立場で動物病院経営のサポートに当たられています。
【新規開業で院長 → 承継で院長をリタイア → 獣医師としてピンチヒッター獣医師 → 事業承継で「経営者」になる】
というように、獣医師界では初めての働き方をどんどん作られておられます。
大阪 作本動物病院 元院長 作本貞良先生
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